【レンタルします!】

 

この映画は、日本でもっとも古い染めの技術と、

その作業を地道に続けて来た一人の職人の生き方を紹介しています。

ここには日本の美しい原風景が映し出されていて、

現代社会に生きる私達が忘れてしまった大切なメッセージが込められています。

 

 

<技術について>

 

木版染めの技法を知るには、この映画を観るか、

工房に行って何日か職人と共に過ごすしか方法が無いと言っても過言ではありません。

 

染め、ファッション、芸術、文化、ものづくりを学ぶ人は必ず見るべき映画です。

 

理由 

 

(木版染めの説明)

 

木版染めとは、小さな木で出来た版を無地の生地に一つ一つ染料を版に塗り、押し染めていくという気が遠くなる技法。インドから伝来し、江戸時代に効率の悪さから一度絶滅してしまった。

 

それに換わって普及し始めたのは、型紙を使った染め方。これは現代でも主流の技術である。型紙を使うことで、一度に同じ形を広範囲に染め上げることが可能になった。型染めも美しいが、木目の持つ軟らかさや、色が絶妙にかすれる具合などは、筆で色を塗りこんでいく型染めには描き出せない世界だ。

 

木版染めは、生地の上から版を押し当てるだけなので、生地の芯までは色が染まらない。その為、模様が立体的に浮き上がって見える。一番古い技法だが、生み出される作品はまったく新しいもののようである。

 

(木版染めの現状・この映画の存在意義)

 

1)木版染めの起源はあまりに古くて、小さな布切れ一枚しか記録に残っていない。その所蔵場所も不明。

 

2) 映像で記録されている木版染めの技術もこの映画のみである。

 

3)この映画を見れば自分で挑戦することが可能なくらい非常に細かく一工程ずつ、全て記録した。

 

4)現在、木版染め職人は登場人物を含めて日本に3人しかいない

江戸時代のように、またいつ途絶えても不思議ではない貴重な技術だ。しかも、この技術のルートであるインドの木版染め職人さえもどんどん減っているという。ここに、この映画の存在意義がある。

 

5)版木を押して染めるだけでなく、無地の部分の染め方や、全体に薄く柄を入れる方法など、ここには高度な技法が使われている。また、版を幾重にも重ねて染めるという方法なども、すべて職人自ら発明した知恵である。古くからある道具を駆使し、全く新しいものを生み出すアイディアは学ぶべき見所だ。

 

(この映画の作られた姿勢)

 

反物が染め上がった後、着物になるまでの、しわを伸ばし、仕立てる工程も記録している。しわを伸ばす作業は普段TVなども取材しないので、まったく表に出てこない仕事だ。

 

しかしこの作業がなければ、着物は完成しない。一つのものが生まれるまでに、どれだけの人の手が加わり、どんな細やかな気遣いがなされているか、ここに映し出される作業はものをつくる人にとっての手本になるだろう。そして、この映画は着物つくりと同じくらい丁寧に作られている。

 

<ライフスタイルについて>

 

この映画は、学生、特に高校2・3年生、大学3・4年生、社会人1年から3年目、起業や転職しようとしている人、仕事に対して不安や不満を持っている人、またしっかり自分の仕事をして生きてきた人たちに見てもらいたい映画です。

 

理由 

 

(人生の転機にある人たちへ)

 

感受性が豊かで、選択肢が多い時期に、この映画を観て、世の中にはたくさんの仕事があり、生き方があり、決して大きな職場で働くことだけが正解ではないということを感じてもらいたい。そして、未来の自分の歩むべき道をじっくり考え、人生を楽しいものに変えていくきっかけにしてもらえたらと思う。

 

何故なら、私自身が丁度人生の転機にこの職人と出会い、その生き方を見て、大丈夫だという自分を信じる勇気を与えてもらった気がしているからだ。そこからこの映画を完成させ、自分の人生の中の「仕事」という時間が本当に楽しいものになった。生きていく時、人には必ずターニングポイントがある。その先は誰も知らないからとても不安だ。

 

しかし、この職人の働く姿、そして生み出される着物の美しさを目にしたら、きっとそんな不安は消え去るだろう。周りに囚われること無く、自分の信じる道を進むことの大事さを、この映画は職人の仕事をじっと見つめることで語っているのだ。

 

(しっかり歩んで来た人たちへ)

 

この映画の中の職人の言葉は、何てこと無いつぶやきだ。しかし、その言葉の裏づけに彼の70年の人生があり、また、染めの世界に入ってからの50年の歴史がある。これらは、はやり同じくしっかり生きてきた人にとって大変共感できるものであるに違いない。

 

雨の日も風の日も暑くても寒くても、毎日工房に通い働く職人の姿に必ず自分の人生の軌跡を見て取ることができるのだ。この映画は、そんな人たちに対し、改めて自分の人生を思い返す時間を与えてくれる作品なのだ。

 

<映像美について>

 

この映画は、歴史的技術の記録という大事なミッションは守りつつも、単なるドキュメンタリーではなく、子供の頃、眠る間際に聞いたおとぎ話の様に、時空を超えていつまでも心に残り続けるものをと思い、作りました。

 

この職人が現在本当に存在しているのかとか、工房はどこにあるのかということよりも、この映画の中で行き続ける一人の職人の姿、そして工房に舞い降りた桜の精が着物の完成を見届けて、再び木に戻ってゆくというファンタジー性を込めて演出しています。

 

着物のものづくりと負けないくらい、映像つくりのアイディアを詰め込みました。しかもあえてCGは使わず、手間がかかっても手作りの風合いを残しました。

 

それはこの映画がノスタルジックな演出が必要だと思ったからです。つまり、それは木版染めの作られ方とシンクロしているのです。そこから生まれた映像美は着物の柄を更に引き立てました。

 

全て染め上がり、水の中で反物を洗うシーンはまるで反物が命を得た喜びに空を舞っているようになっており、これは観る者の心の中にずっと消えないでしょう。そして、時折思い出し、その解放感を追体験することができるのです。